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202X年8月22日

今日は閉店間際にお客さんが来た。
この時点でいつも走って乗っている電車を逃して、乗り換え駅で三十分待つことが確定した。
お客さんはいいよね、ここが最寄りだもんね。
きっと一時間に二本あるかないかの電車社会を知らないんだ。

閉店五分前に「試着してもいいですか?」の申し出が。
「ダメです」なんて断ったらクレームものだからニコニコ笑顔を浮かべつつ試着室へご案内。
(心は穏やかじゃない)
お客さんが着替えいるうちに閉店のチャイムが鳴った。
試着室から出てきたお客さんが「八時まででしたよね?」と聞いてきた。
「このフロアは七時半までなんです」と困り眉にして伝える。
八時まで営業しているのは食品だけだった。

お客さんが試着した洋服を買うと言った。
モバイルのレジは閉じてしまったから、集合カウンターの大きなレジでお会計。
クレジットカードをお客さんへお返しして、まだ動いているエスカレーターまでご案内。(ご誘導)
照明がほとんど落ちた店内でソワソワ落ち着かないお客さん。
「遅くなってすみません」とさすがに謝ってきた。
私はニコニコ笑顔でお気になさらず、と気取って言う。
「これからだと八時には帰れますか?」
「(現在時刻七時五十分)……はい!」
本当はカウンターに残っている社員さんにお礼を言って売上レシートをもらって売上合わせて在庫確認して品出しして売上管理表の計算して残高表も計算して他店売上を聞きに行って全部会社へデータ送信して電気機器の電源を落として着替えないと帰れないけど。
説明が面倒くさいので流した。

お客さんを無事に見送って売場に帰る。
もう何もやりたくない。
最低限だけ済ませて、あとは明日早番の私に任せてしまおう。
本日も一日、お疲れ様でした。




202X年8月23日

クソが
昨日の私の馬鹿野郎
納品二〇〇点あったんだぞ
返品振り回しも合わせて十数点あった
それにプラス昨日の私の仕事なんざやってられっかこの野郎
次は電車何本乗り遅れてでも片付けろ
わかったかこのアッパラパーが




『私の日記帳』
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私の心の中にある日記帳より抜粋

8/26/2024, 2:40:29 PM