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「夜空を駆ける馬を見たんだ」

僕は君に引っ張られるがままに外に出た。空は曇り、星はない。頭上には丸い月だけが見える。
「こっちだよ」
君の指さす先には何も見えない。
「少し、目を閉じてみて」
言われるがまま目を閉じる。しばしの静寂。
周りが暖かく感じる……ここにだけ春が来たようだ。全身が浮き立つ感覚。いや、目を開けると文字通り、僕は宙に浮かんでいた。
上には光を放つ丸い金属質。その中央の穴に僕は今、吸い込まれている。

「ああ、あの馬はアブダクションされてたんだね!」
君の無邪気な笑い声を最後に僕の意識は途絶えた。

2/22/2025, 7:55:31 AM