「何故、貴男様方がこちらに。」
警備員が止めに入る。
「アポは取ってるから、安心してよ。」
「了承の手紙を見せた方が良いのか。」
「……。」
三人の紳士は、半ば強引に門を潜ろうとした。
「しかし、いくら貴方様方と言えど…。」
警備員は、彼らを知っていた。
いや、寧ろ…知らぬ方がおかしい。
其れほどまでに、彼らはこの屋敷の主人と親しかった。
警備員は、彼らを止められなかった。
この屋敷の使用人も止めに入ろうとしたが、彼らを止められず、
とうとう主人の寝室のドアの前まで来て、勢いよくドアを開けた。
「おうおう、大丈夫か。見舞いに来てやったぞ。」
「大きい声を出すな。身体に触るだろう。」
「花束、持ってきたよ。」
私は、苦笑した。
どこから、私が風邪で伏せっていることを聞いたのだろう。
私は身体が弱く、幼い頃から体調を崩しやすかった。
私にとって、風邪は脅威だ。
風邪と侮れば、私の命は幾つあっても足りないほどに。
だから、彼らの見舞いが嬉しくて、涙が溢れそうだった。
彼らが屋敷に無断で入ってきたのは、廊下が騒がしくて分かった。
「来てくれて、本当にありがとう。」
ぽろっと、私の口から零れた。
「気にすんな。」
「互いに忙しい身だから、こうして集まれるから良いよ。」
「おまえは、どうなの?嫌じゃない?嫌だったら、遠慮なく言って。」
彼らは、口々に言った。
「安心して、嫌じゃない。寧ろ、嬉しいくらいだよ。」
嬉し涙をぐっと堪えて、笑って応えた。
12/16/2023, 4:15:17 PM