幸せとは…ズバリ○○でしょう!なんて断言出来る奴なんて居るんだろうか。それはあくまで個人の意見であって皆にとっての幸せにはならない。逆に幸せが見つけられない人は「幸せ」に気付けない可哀想な人。そんな目で見られる。本当に人間は勝手で曖昧だ。
それはそうと、このお題が出ているからには幸せについて自分なりの答えを結論づけなければならない。まず自分の境遇を辿ってみる。
父はパチンカスで酒カス。母は一般人だけど少し金が良い所に勤めてる。それでも父がこんなんだから夜は身体を売って歩いてる。どっちにしろ稼ぎは良くて父に渡しても俺たちが裕福に暮らしていける分はあった。そんな父と母の出会いは夜の街だったのだとか。見かけた父が一目惚れしてそれなりに合う仲になって母とのお付き合いを決めたのだとか。声をかけられた母もその時に一目惚れしたんだとか。父は結婚を境にパチンコも酒も辞めると言い出すくらい根は真面目だった。しかし、娯楽の1つや2つどうって事ないと母はそれを許した。それに、母はどんな姿であれ、父の事を異常な程に愛していたし。両親の間に生まれたのは姉ちゃんと俺の2人。姉ちゃんはスタイルも良いし顔も良いしいい女。俺のことも可愛がってくれた。ただ、姉ちゃんの性格は少し悪いらしく女友達は口を揃えて言った。「絶対に敵に回したくない」と。その意味を知ったのは高校の時。大人になった姉ちゃんはヤニカスになってて夜の街で見つけたセフレが何人もいるようなクズに成長していたからだった。
そんな環境の中で育ってきた俺はある意味個性が強いこの家族とは違い、特に何もなかった。勉強が出来るわけでもなければ運動が得意なわけでもない。ヤニカスにもなれなければ酒カスにもなれない。誰かに依存してしまうほどの恋愛をしたこともなかった。ただただなんとなく生きて日常に面白さも生きがいも見つけられない。
ふと家族のことを考えた時、共通点がある事に気がついた。始まりが「夜の街」という事だった。という訳で、早速俺は夜の街に飛び出した。ネオン街のような賑やかなそこは日中では見られないような特別感が漂っていた。その後、表通りを歩いていれば露出した女達に声をかけられ、雰囲気に酔って裏路地へ回れば男どもが殴り合いをしていて。随分困ったものだ。本当にどうしようもない。特に何もなく、街から少し離れた公園のベンチに座った。出会いとか個性とか、そういうものを求めるために此処に来るのも間違っている。俺はいつも通りただ毎日をやり過ごして…
「あの、すみません」
「はい?」
「お兄さん今暇ですか」
俺の前に現れた見た目だけはスパダリなこの男。俺は一体何をしたと言うのか。もしかして殴られる!?それともカツアゲ!?
「すみません。僕、お兄さんにビビっときて、運命の人だなって思って追いかけてきたんですけどもし良ければこの後空いてます?」
「え…えっと、俺、男なんだけど?」
完全におかしな奴に捕まった。でも、もしかするともしかして、こういう世界に飛び込んだら何かを見つけられるかもしれない。
「そんなこと気にしませんよ。僕が人生の中で感じた初めてのときめ…」
「そっか。んじゃ、ついて行きますわ」
それがこのスパダリとの関係の発端だった。
現在、俺の恋人となったスパダリ。神様のイタズラかこのスパダリとは何もかも相性が良かったのだ。会う度に告られて、とうとう俺は折れた。実際、俺も心の内、好きになってしまったのだ。
そして結論に至る。結論:幸せとは何気ない愛である(俺理論)。やはり何処かに愛があるからこそ俺の今があるのだと実感した。与える側でももらう側でも人は見えない「愛」というものを育んでいる。
題材「幸せとは」
1/5/2025, 9:46:09 AM