初めて見た時は未来への期待で、何気ない住宅街も輝いて見えた。この景色と共に喜怒哀楽を感じていくと思うと、心がムズムズしていた。じっくり見ていたせいでダンボール開封をしている家族に軽く言われたけど。
「これから頑張るぞ!」
特に大きな出来事もない私の人生とは裏腹にお外はカラーリングをコロコロと変えていく。近所の桜はゆったりと舞い散り、人の家の屋根にいろんな色の鯉のぼりがたなびいていた春。暑さが強くなったり、快晴の夜空にかかった川を見たり、子供とセミが賑やかな夏。秋は、ただ紅葉が綺麗で寒くなってきた印象だな。深く考える事が無くなってきた。
入居してから8ヶ月後、私は寒さと布団への愛着で起床困難になっていた。脳を覚醒させるためにスマホを見る、そこには衝撃の事実が書かれていた。私はさっきの困難を忘れさせるくらいの素早さを見せて、カーテンを開けた!
「わぁ…!」
地元では見られなかった景色が今ここで見られた。しばらく不動だった顔も今は笑窪を浮かべているし、普段は出せない声もするすると出せた。もう、これを見れただけで満足だ。仕事の事も、何もかも、忘却の彼方へと一直線に向かわせられた。
「さあ、いこうかな!」
これが最後で最高のシーナリー、おそらく雪で遊んでいる子供のはしゃぎ声をBGMにして私は向かった。綺麗な部屋、最高の窓の外、自分が反射した窓もこれが最後だ。
「いってきます!」
最後は、キラキラしていた。
9/25/2024, 12:22:42 PM