ポツポツと、冷たい水が顔に当たってくる。
雨だ、雨が降ってきたんだ。
早く屋根のあるところに行かないと、頭の中では分かっているのに、体は動かない。
指先を動かすことすら出来ず、もう自分は駄目なのだと悟る。
「〜〜〜!!」
遠くの方で声がして、うっすらと目を開ける。
周りには人がいて、何か叫んでいる。
心配して声掛けてくれているのかもしれない。
でも何を言っているのかは分からない。
目線を空に移す。
どんよりした雲の隙間から、陽の光がさしていて、なんだかとても綺麗だった。
冷たかったはずの雨もだんだん、温かく感じてきて、
『あぁ……気持ちが、いいなぁ。』
そのまま……柔らかい雨に打たれながら、
眠りについた。
#柔らかい雨
11/7/2023, 5:34:52 AM