48. heart to heart
一年の四月、部活帰り君が話しかけてくれた。一緒に帰ろうって。
君の歩く速さが心地良かった。
それからずっと、快活な足取り、明るいお喋り、一緒の時間が楽しくて、気づけば三年の夏が終わってしまった。それからは別々に帰るようになっていったけど、待ちに待った三月が来た。部活に復帰して、また一緒に帰れて本当に幸せだった。
今でも時々思う。君の友達になれていたのだろうかと。友達としての振る舞いを分かっていなくて歪な行動も多かったろうに、一緒に帰ってくれた。けどそれは君の優しさに甘えていただけかもしれない。君にとってこいつは何だったのかな。
包み隠さず本音で話せていたら違ったのだろうか。仮面に装飾に、何重も固く閉ざす他に生き方を知らなかった愚かな中学生を、俺は抱きしめてやりたい。そして、君と腹を割って話せたら。
2/6/2025, 1:26:19 AM