御手洗

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夜歩くのが好きで思い立って散歩に出ることがある。
散歩とは当てもなく歩くことであろうが私にとって目的地がないことはどうも落ち着きが悪く大抵は近所のコンビニまで行こうとか公園まで行こうとかゴールを設定してしまう。

街灯の薄明かりを進みながらよく考えるのは、なぜ自分は夜の散歩が好きなのかということだ。色々ととってつけたような理由は思い浮かぶのだが考えたあげくの結論はシンプルだ。どうも私は夜に散歩する自分がなんかお洒落で格好いいと思っているらしい。

こんな恥ずかしい結論もないのだが自分に正直であろうとするならこれが一番的を射ている気がする。私は夜の散歩を好むようなお洒落な自分が好きでなぜそう思うかと言えば私の敬愛する小説家や音楽家などの表現者たちが夜の散歩を慕い、またそれが似合う人たちだからだ。要するにかぶれているのだ私は。

冬の街はひどく冷たい。点滅する光と闇の狭間を私は愛慕する人たちに歩かされている。

12/2/2023, 1:44:57 PM