知らない人間と手を繋ぐ君の笑顔が、
僕の網膜に焼き付いた。
怒りとも、悲しみとも違う。
空洞。僕の心に穴が空いた。
何かが出ていった気がした。
僕の事をなんとも思っていない視線が、
他人を見る目と何ら変わりない視線が、
僕の心を射止めて、深く抉るんだ。
君は僕の手の中に体温だけを残して去った。
君に貰った香水を未だに付けて虚しくなる。
君の手料理は今でも味を鮮明に思い出せる。
君が放った愛言葉は一言一句忘れていない。
目を開くと、言い知れぬ喪失感が襲いかかる。
君が僕の隣に居ないと思い知らされる。
君が僕以外に笑顔を向けているのを見せつけられる。
僕にとって君の存在は、
思っていたよりずっと大きなものだったらしい。
そして、君にとっての僕は、
替えの利く都合のいい人間だったみたいだ。
9/10/2024, 4:05:29 PM