マクラ

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『愛を叫ぶ』

愛を叫ぶ。
出来れば直接彼女に伝えたいけれど出来ないから、せめてより多くの人に聞こえるように人混みの中で。
道行く人たちに白けた目つきで眺められた。
気分はちょっと上野のパンダだ。
いや、それはもっと熱のこもった視線か。
それなら変質者を見る視線……って思ってて少し悲しくなった。

「愛してるんだ」

もう胸が、身体がいっぱいで、この愛を少しでも外に出さないともうパンクしてしまいそうで。
それでもいくら叫んでも、後から後から愛は溢れて、ちっとも減ってくれたりしない。
笑った顔も怒った顔も良い所も悪い所さえも愛しい。
こんなに人を愛したのは初めてで、どうして良いのかもわからない。
付き合ってほしいとか、アレやコレやも出来るならしたいけれど、手の届かない人だから、出来なくても構わない。
彼女が笑っていられるなら、それだけでいい。
いやでも出来るなら直接その笑顔が見たい。
自分の隣で笑っていてくれたら最高だ。
彼女の好きな人の話だって笑顔で聞いて、なんなら一緒に悩んで応援だって出来るから。
友だちとしてでも、彼女の心の一片で思ってくれたら幸せすぎる。

「あー画面の向こうに行く方法ないかな」

次元が一つ下の彼女へ、直接合う方法を思案した。

5/11/2024, 12:27:08 PM