名無しの権兵衛

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題:君は今

君が僕の元を去ってから、どれだけの季節を巡っただろうか。
この別れは、お互いの道を進む為の前向きな別れだったと、僕はそう考えている。
だから君も今頃は、あの日語り合った夢を叶えているに違いない。
ああ、努力家だった君の事だ。
きっと、叶えて幸せを掴んでいるはずだ。

僕の事は気にしないで、君はこれからも君の道を行けばいい。
あの日の君と同じように、今の君も笑っているだろうか。
どうか変わらず笑っていてほしい。
僕の事など早く忘れて、君を支える人達に囲まれながら、どうか笑っていてほしい。
ああ、優しかった君の事だ。
きっと、僕の願いを聞き届けてくれるはずだ。

君は今、どう過ごしているのだろう。
僕は今も同じ場所で、君が来るのを待っている。
かつて交わした約束を果たす日の事を、ずっとずっと待っている。

***

僕:「君」の大切な人、故人
君:「僕」の死を受け止めきれずにいた人
別れ:「君」が墓石にすがりついて泣くのをやめた事
同じ場所:「僕」の墓
語り合った夢:「君」が幸せな家庭を築く事
かつて交わした約束:「僕」の生前、「君」が結婚したら報告してほしいと約束していた

これらの設定を知ってから読むと、違う雰囲気に変わる文章。
知らずに読んだら、ただの未練たらたらな人の文章だけど。

何となくイメージしたのは、テニプリの白石のキャラソンである『エピローグ』と『追憶』。
「僕」は止まっているけれど、「君」は進んでいく。
そういう物語にしてみたかったんだ。

2/26/2024, 10:35:18 AM