居間から聞こえる賑やかな声に、燈里《あかり》は小さく溜息を吐いた。
無言で戸を開ける。途端にはっきりと聞こえる二人分の声に痛む頭を抑えた。
「だから迷惑だと言ってるだろうが!」
「意地悪だわ。燈里はそんなこと一言も言わないもの。そんな甲斐性なし、きっとすぐに捨てられてしまうわね」
「燈里が俺を手放す訳ないだろうが。お前みたいな優しさに漬け込もうとする賤しい奴と一緒にするな」
「酷いわ!燈里に言いつけてやるんだからっ!」
「いい加減にして、二人とも」
白熱する冬玄《かずとら》と東の面の言葉の応酬に、燈里は堪らず声を上げる。
途端に静かになる二人を前に、燈里はもう一度疲れたように溜息を吐いた。
2/13/2026, 4:10:07 PM