早朝。朝露を纏う草花。
何時もの通学路にいつもとは違うモノひとつ。
間違い探しのような感覚で見つけて、その瞬間の―――花が開く様な視界の変化に驚愕した。
何かおかしな事が自分に起きたのだと理解は出来ても、それが何なのか分からずに⋯⋯学校の教室で登校してきた友人に相談する。
『それはズバリ恋だよ! やっと春が来たのか! おめでたいね!』
なんて喜ぶ友人に、私は話どころか面識すらない人にどうやって恋などするのかと、訝しく思いながら見つめていた。
端的に言うと、所謂一目惚れというモノらしいが⋯⋯どうにもピンと来なくて私は首を傾げている。
結局、その日は私の納得するような答えは得られず帰宅した。
それからというもの⋯⋯その人は毎日同じ時間に現れるようになった。
早朝の朝露を纏う草花眺めながら歩く通学路。
その中にその人が追加されていて、見かける度に不思議な感覚に陥る。
まだ、理解できないこの感覚も全部。やっと訪れた春のせいにして、私は今日もその人を視界に捉えながらいつもの道をゆっくりと歩いていく。
4/15/2025, 4:27:22 PM