陽が落ちて、街に明かりが灯る。
ここから見る景色が何故だか、寂しい。
鞄からスマホを出して、画面を見つめる。
特に通知はなく、ため息をついてカメラを起動させた。
カシャリ。
無機質な音は、私を余計に孤独にさせるのに、
画面に写された景色はとてもとても温かかった。
オレンジの家の灯り、青い街灯、車の黄色いライト、
商店街のネオン、全てがキラキラとして、
闇ですら寄せ付けない気がした。
あの中に戻れたら、
寂しさはなくなるのかな…
戻りたい。
でも、このまま闇に消えてもいいような気もする。
~~~♪
突然鳴ったスマホを見て、私の頬が弛んだ。
「もしもし?
…いま?夜景見てた。…うん。いつもの所。」
通話が終わると、ベンチに腰掛ける。
もうすぐ、私をあの灯りの中に連れ戻してくれる人が来る。
嬉しいような、残念なような、
なんとも言えない気持ちだけど…。
今はもう少しだけ、外側の闇から温かさを見ていよう。
9/18/2022, 2:00:36 PM