pome

Open App

僕は犬。
元は捨て犬だった、でもそんな時、とある優しいお爺さんが僕を見つけてくれて拾ってくれた。
その人の家はそんなに裕福では無く、田舎町のどちらかと言うと昔の雰囲気が漂う家。でもとても心地の良い家だった。
その家にはお婆さんが居てどうやら夫婦で暮らして居るみたいだ。二人はとても仲が良く毎日笑っていた。そこに僕が近寄ると優しく頭を撫でてくれる。

僕がこの家に来て半年、お爺さんが体調を崩した。
前から患っていた病気が再発したみたいだ。日に日に体調が悪くなっていくお爺さんを見るのは辛かった。少しでも安らぎになってもらおうと僕はずっとお爺さんの傍に寄り添って居たんだ。
そんな僕の頭を撫でながらお爺さんは呟いた。

『 お前に会えて良かった、お婆さんを宜しくな。』

そんな事言わないで欲しい。でもその声色は死を覚悟したような、そんな声色だった。

其れから一週間後、お爺さんは何とも幸せそうな表情で深い眠りについたんだ。僕はそれからと言うものお婆さんに精一杯の幸せを注いであげた。


お爺さん、ありがとう。最近気付いたけど、僕は
お爺さんに会うために、いや、お爺さんに会いたくて産まれて来たんだと思う。貴方の飼い犬になれて僕は光栄だったよ。僕が死んだら絶対迎えに来てね、そしてまた僕の頭を優しく撫でてよ。

それまで僕はお婆さんに一生分の幸せを贈るから。


#君に会いたくて

1/20/2023, 2:09:36 AM