能力者になりたい佐々木海星(偽名)

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【これまでずっと】
 最近、完璧にできていたことができなくなった。飛んでいた鳥が、急に落下するように。泳いでいた魚が、ヒレを動かせなくなるように。今はずっと、病院のベッドの上。何もすることがない。暇すぎる。
『ガラガラガラ』
ドアが開く音。私はそちらに視線を飛ばした。
海星「やっほー。元気にしてる?」
花奏「まぁまぁ。なんでここに来たんだ?」
海星「花奏が退屈してるんじゃないかって思ったんよ。」
その通り。こいつは私のことをよく知っている。
花奏「そうだよ。暇だよ。何もできん。何もすることがない。どうせ勉強したって、私の将来には必要なくなったのだから。」
海星「そんな悲しいこと言うなよ〜。」
花奏「これが事実。これが未来。私は逃れられない穴に落ちたんだよ。こっからはゆっくりとゴールに進むだけ。」
海星「それまでに、たくさん話したり遊んだりしよう!」
なんだこいつ。話がわからなかったのか?どうせ私は死ぬ。そういう運命なのだ。変えられない。変えようとも思わない。「どうせ」という言葉だけが心に残る。
海星「先のことは考えないで、今を真剣に生きようぜ?」
花奏「そうだな。」
私は今、生きている。この時間を大切にするとしよう。これまでずっと、こいつと関わってきたが、こいつと出会って良かったと思う。私があいつを変えたように、私もあいつに変えられたのかもしれない。こんな感情は久しぶりだ。
                     end

7/13/2024, 12:46:53 AM