わたあめ

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真っ青の足元には白い雲が漂っている。あそこまで行けば、雲を捕まえられるかしら。
校庭の桜の木は黒い影を茂らせている。
子どもたちは皆真っ黒で、その影は色彩に満ちている。
全てがゆっくりと流れて、私だけ別の世界にいるようだ。いつもと違う世界は時間の感覚を狂わせる。

私は鉄棒に膝をかけて頭を下ろしている。「コウモリ」というらしい。
手を振りながら走ってくる黒い人がいる。あ、みいちゃんだ。
「ちいちゃん何してるの?」と顔を覗き込みながら訊ねてくる。
「世界を逆さまに見てるの」
みいちゃんが隣でこうもりの姿勢になってこう言った。
「おもしろいね」とみいちゃん。
「でしょ」と言うと、「ううん。ちいちゃんが。こんな事考えるなんておもしろいね」
みいちゃんは私の方を向いてそう言って,にぃと笑った。

みいちゃんが足を地面に戻してこう言った。
「みんなでケイドロやるって。ちぃちゃんもやろう」
私は掌を地面に当ててから膝を鉄棒から外す。
頭にのぼった血液が一気に体におりてきて、少し目眩を感じる。

ゆっくりと流れていた世界が急にスピードを上げる。私は元の世界に戻ってきた。
「待ってー」とみいちゃんを追いかけて走り出す。
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お題:逆さま

12/7/2024, 5:03:13 AM