悩む人

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 無事に高校一年生が終わって、春休み。

 帰宅部に所属している私は、朝七時くらいに目覚めるとすぐに定量の宿題を済ませ、あとは悠々自適に過ごします。

 自分の部屋で一日中ごろごろしているのは、さいこーに気持ちがいいです。

 私の両親は、一昨日から母方のおばあちゃん家へ行っています。

 ここから一〇〇キロメートル以上も離れた田舎にあって、私はお留守番しています。

 おばあちゃん家や田舎が嫌いというわけではなく、昔の記憶にある、往路での出来事が忘れられないからです。

 私は幼い頃、おばあちゃん家に行く途中にある二つ目の道の駅で、迷子になったことがあります。

 そこにはたくさんの人がいて、両親と離れていたこともあって、見知らぬ誰かに誘拐されるのではないかとびくびくしていました。

 もちろん、そのようなことに巻き込まれることはなく、しばらく経って両親が私を見つけてくれました。

 安心したことで大泣きしてしまったのを、いまでも覚えています。

 事故に遭ったのは、そのあとのことでした。

 ……いえ。父が、事故を起こしてしまったのです。

 追突事故、でした。

 幼かった私には、その事実しかわかりません。

 いまでも、両親には原因を教えてもらっていないのです。

 憶測にはなりますが、お昼ご飯を食べた直後だったので、居眠り運転をしてしまったのではないでしょうか。

 幸い、向こう方に負傷者は誰もいないようでした。

 車の傷も大したことではなかったみたいで、あとのことは順調に進んだと聞いています。ここは、両親の会話を盗み聞きしました。

 それでも私には、あのとき揺れた車の衝撃が、身に染みて恐怖となっているのです。

 以降、私は、車に乗せてもらっていません。

 どこか遠くへ出かけるときは、自転車や新幹線を利用しています。

 フェリーは船酔い、飛行機は墜落が怖いので、移動手段に含めていません。えへへ。
 

2/29/2024, 2:13:12 AM