九日目 何もいらない
今年も彼女は、一日中僕を連れ回す。こんな言い方では聞こえが悪いかもしれない。しかしそれは、彼女が僕を想っての行動である。
彼女が毎年同じ日にこうして僕を連れ回すのは、とあるデートから始まった。というのも、その日は僕の誕生日で、彼女が「誕生日プレゼントは貴方に直接選んでもらいたい」と言ったからだった。しかし僕は、こともあろうに「何もいらない」と答えた。その言葉が彼女の気に障り、意地でも祝ってやる、と夜まで様々な店に連れ回された。
それから来る年も来る年も、「何もいらない」という僕の誕生日に、どうにかして祝ってやろうと必死になりながらも試行錯誤しているのだ。
本当に、"君意外"、僕は何もいらないというのに。
そう思いながら、今日も必死な彼女の顔を愛おしくみつめる。
4/21/2026, 6:30:03 AM