「貴様はその色が好きなのか」
山吹色のインナーに紺碧の道着を見て感想が口をついた。
「そういう訳じゃないが、あいつらはずっと同じの着てたから愛着はあるだろうな」
あいつら、とは素体になった2人のことだ。
ブーツや手袋も素体の身につけていたものと同じだ。
「別にこの服じゃなきゃいけないわけじゃない、ただ他のを着る気にもならないだけだ。」
「そうか、ならばたまには違うものも着るといい」
そう言って念ずればすぐさま衣服が変わっていく。
純白のブーツはスニーカーへ。動きやすさを重視した道着は、対照的にピッタリと体の線が浮かぶジーンズに。半衣はゆとりのあるスーベニアジャケットに変わり露出されていた腕は光沢のあるジャケットの布地にゆったりと覆い被せられてしまって鍛え上げられた体躯は見えなくなった。
「おお、これ神様の好み?」
手袋を失ってむき出しの手のひらを眺め、ジャケットの裾を捲りながら訝しげに自身の着衣をまじまじと見ている
「馬鹿なことを言うな、おまえに似合うものを誂えた」
ふーん、と鼻を鳴らし、それって同じじゃない?と言いたげな顔をしているが断じて違う。
6/21/2023, 6:35:18 PM