キミは悪魔だと思っていた
ボクがやることにいちいち口出しをして
キミの通りにやったら
主体性がない
とダメ出しの毎日
何度キミのことが嫌になったか数えられない
けれどある日
厳つい先輩に絡まれているキミを見かけて
居てもたっても居られなくて助け出した
手足だけじゃなくて声までも震えたけれど
誰かが嫌がっているのを見るのがボクが嫌だったから
いつもいつもキミに怒られてばかりで
情けなくてへっぴり腰になりながらも
先輩にキミが嫌がっていることを伝えた
先輩は
偉そうにとか思い上がるなとか言っていたけれど
ボクは先輩がその場から立ち去ってくれただけで安堵して聞こえなかった
だからキミがあのときなんて言ったか覚えていない
でもキミはまるで天使のように微笑んだ
いつも悪魔みたいなキミが
ボクに微笑んだ
そのときボクはキミの虜になったんだ
『天使と悪魔』
5/27/2024, 12:42:57 PM