【ブランコ】
キーコキーコと悲しい音が鳴る。公園のブランコで漕いで見えるのは小さな小さな我が子の丸まった背中。いつもは仲良く遊んでいる友達がいるのに。今日は一人。
「どうかした?」と私は後ろから声を掛ける。
「……友達とケンカした……。」ふてくされたようなでもちょっと寂しそうな声で息子は返す。
「それで、どうしてケンカしちゃったの?」と言いながら私は息子の隣のブランコに腰掛ける。
「俺が大事にしてたもの壊したから、だからもう遊んでやんないって言っちゃった。」
「そっか……。でも本当は言い過ぎちゃったなって思っているの?」
「うん……。」
「なら明日仲直りしてみれば?」
「でも壊したし」
「ちょっと見せて?これ直るよ!大丈夫」
「本当!?」
「大丈夫直るよ。明日は仲直りできそう?」
「出来るかな?」と不安そうな息子を見て私はブランコから立ち息子のブランコの後ろに行き、背中を少し押す。
「大丈夫だって!きっと許してくれる。なんたって自慢の私の息子だからね!仲直りしていつもの元気出しなさいよ!」
ブランコは、背中を押せば高くなる。もちろん自分でも漕げるが二人で協力することは大事だと教えてくれる。また、順番を待つこと、交代すること、子供と目線を合わせることを。そんなことを思いながら明日の息子に背中を押す。
2/1/2023, 1:52:17 PM