1人の生徒について思い出そう。
私が教育実習生だった時に会った男子生徒の話だ。
その子はいつも教室の隅にいた。
私が知る限り、誰かと話している姿は事務的なもの以外なかったように記憶している。
かと言って他のオタクたちと同じように、暇な時間を適当なもので埋めようともしていない。
寂しそうにしているか、虐められているか、というとそうでもないようだった。
所詮、臨時の大人でしかなかった私には見えていなかっただけかもしれないが。少なくとも見える範囲でそう言ったことはなかった。
ふと気になった。
小学生がありの観察をするようなもので、ただ後ろで立っているだけの適当な時間を埋めようとして、たまたまだった。
男の子にしては長めの髪の隙間からじっとどこかを見つめている。かと思えば、急ににやけ、突然慌てたように顔を伏せる。子供向けのゲーセンのわにを叩くヤツとかモグラを叩くヤツみたいだな、と思ってたことが無駄に記憶にこびりついている。
その生徒に対して好悪の感情はどちらもない。ただなんとなく癖になるというか。
その生徒は良くも悪くも……いや、悪い意味で私の記憶に残る人物だったのだ。例えば実習生への質問コーナーで、一人一問提出された時。あれは1度持ち帰って紙で返答するもので本当によかった。
『先生が女子高生の時、男の人によく誘われていたと思いますが、女の子は奥手だから、ぜんぜん話したことなくてもクラスメイトくらいなら家に誘っても大丈夫ですよね?』
2/12/2026, 10:20:31 AM