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特別な存在

「レディ&ジェントルマン お集まりの
紳士淑女の皆さん今宵はこの私のステージに足を運んで下さりありがとうございます。」私は腕を胸に当て深々とお辞儀を
する。

「さて今宵見せますステージは観客席の
皆様の協力が必要です。
今からステージの協力者をランダムで
選びたいと思います。」

そうしてステージのスポットライトが
前列 真ん中 後列 2階席と順々に
光って行く。

そうして いきなりバッとライトの光が
一点に集中する様に光った。

そうして光の中に一人の男性が目を白黒させながら 何が起こったか分からない感じで周りを見ていた。

私はステージの上から即座に大きな拍手を
する。
そうして大げさな程 声を大きくし
身振り手振りを激しくした。

「おめでとうございます 貴方は選ばれた
特別な存在です。
どうぞステージの方へお越し下さい!」

私の拍手につられる様に観客からも
大きな拍手が鳴り響く

選ばれた男性は、最初はおっかなびっくりと ステージに上がってからは誇らし気に
笑みを見せて観客の拍手に応える

私はそれを見て小さく笑みを浮かべる
さあて本番は此処からだ

私の役目は如何にして彼を輝かせるかに
思考がシフトする。

彼に特別感を与えたからには此処からは
彼のステージだ。
協力者など名ばかりの口実に過ぎない
今からは彼が主役
私が彼のサポート役だ
さあ 観客を彼の魅力に引き寄せる
イリュージョンを開始しよう。

3/24/2024, 2:32:52 AM