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お題:脳裏

 君の笑顔が脳裏に焼き付いて、消えてくれない。
俺と居るときは、花が咲くような笑顔を見せてくれないのに、あの子といる時は幸せそうだ。
「やっぱり叶わないな…」

 職員室の窓から君を見る。
君があの子と一緒に帰るところが見えた。
とてもお似合いだと思った。
 悔しいけど完敗だ。
君のことを思ってるのは俺だという自負はある。
でも俺といる時よりも、君はあの子と居るほうが幸せに笑ってる。

 『いいのか星野、クラスメイトに転校すること言わなくて』
担任が最終確認のように俺に聞いてくる。
「はい、お別れ会とか湿っぽいことしたくないんで」
『そうか、だがお前のことだから次の学校でも上手くやれるさ、元気でな』

 今日で、この学校に来るのは最後だ。
学校を後にし一人帰路に着く、長かったこの学校生活も今日が最後だったのだ。
 君と過ごした日々が脳裏に過る。
二人して馬鹿騒ぎした記憶、先生から叱られた記憶、ドンドン泉のように溢れ出す。

「じゃあな俺の初恋の人」

 どうか願わくば君の頭の中に俺という存在の記憶が焼き付きますように。

11/10/2023, 9:16:06 AM