「もうお母さん!なんで起こしてくれなかったの!」
「なんでって…何回も起こしたわよー!」
「もー!行ってきます!!」
「はーい行ってらっしゃいー」
私は奈々!
キラキラな女子高生!なんちゃって!
友達も居て彼氏もいて家庭も裕福!
正直顔もまあまあいいかなーとか思ってる!
SNSでよく見るキラキラJKみたいな生活を送ってる!
「ななおはよー」
「おはよー!」
「あれ、今日は彼氏と一緒じゃないの?」
「んー今日はちょっと一人で来たい気分だった!」
「そっか、」
「あ、てかさこの間のさ〜」
この子が私の一番の友達!あみ!
「奈々居るー?」
「えっ?
あー!なんだ翔かー!」
「わりいわりい笑教科書返そうと思って。
これ、ありがとな」
「あー!そうだった!全然いーよー」
「サンキュ。じゃあまた帰りな」
「うん!またねー!」
見てわかる通り彼氏とも順調!
放課後____
「じゃあまたねー!送ってくれてありがと!」
「おう!また明日な」
「ただいまー」
「おかえり奈々」
「あれ?お母さんメイクしてるじゃん どっか行くの?」
「もう言ったじゃない。今日は前行ったステーキのレストランに行く日よ。」
「え!そうだったっけ!」
「そうよ。早く服着替えちゃいなさい」
「はーい!」
「あ、あの店高級な店だからドレスコード。
前に行ったとき着てた服にしなさい」
「あーそうだったね。了解ー」
私の家はちょびっと裕福なの!だからドレスコードがある店に行くなんて日常茶飯事!
「はあー。」
「私って、友達や親友もいて彼氏もいて、おまけに家庭も裕福とか控えめに言って勝ち組だよねー」
運動もできるし偏差値もまあまあ高い高校に通ってる。 顔も、ミスコン3位に選ばれたことあるくらいには整ってる。
「ぶっちゃけ、もう手に入れたいものとかないわー。」
「友達 恋人 家族 運動 学歴 容姿 お金」
これが全て揃ってる私に必要な"モノ"って…何?____
「……あ、」
「あみ、ストーリー上げてる。」
「『"親友"とカラオケなう』…か、、」
「あ、翔もストーリー。」
「『音楽って最高。"趣味"があるだけで全然違う』」
…趣味、、か。
「奈々!」
「あれお母さん。どうしたの」
「あんた、前の2万円したコスメのお代まだ払われてないけど。」
「えっ、あれ買ってくれたんじゃなかったの?」
「はあっ?違うに決まってるじゃない。
それにお小遣い毎月5,000円渡してるでしょ?早く渡してちょうだい」
「5,000円って…あんなんじゃ足りないよ!ディズニー行ったり、プリ撮ったり、ヘアケアしたりコスメ買ったり服買ったり!女子高生は色々とお金がかかるの!!」
「はあ??何言ってんのよあんた!月5,000円ってめちゃくちゃ高いのよ!?」
「もう!!だから!なんで分かってくれないかな」
「もういい。お母さん知らないわ。自分でなんとかして お小遣いも減らすわね」
「ちょ、ちょっと!何言ってんの!?これ以上減ったら私、遊びに行けないじゃん!」
「…」
バタッ____
「ちょっ…と、。」
ドアが閉まる大きな音を最後に静まり返った部屋。
『ピロンッ!』
「…通知?」
通知音につられて、スマホに目をやる。
『【翔】ごめん、明日部活入って一緒に帰れないわ』
『【あみ】今週の土曜のディズニーキャンセ…』
…
居るはずの恋人と友達が、なぜか存在しないように感じた。
「本当に…"友達"?」
あみには私ではない親友が居て、翔には没頭できる趣味がある。
私は?
お金だってすぐに使い切るし、趣味もない。
勉強だって高校入ってから全くだし見た目も頑張って着飾った結果だ。
本当は何も無い。
虚無を認めるのが怖くて、孤独になるのを恐れてた。
友達も、恋人も、家族も。
本当は周りにいる人皆私に愛想が尽きてる。
でも、私は…ずっと、、
「っ!!…………あれ、、」
「夢…?」
額に垂れる汗で目が覚める。
「…最悪な夢だったな。。」
「…本当、"悪夢"……」
そのときに感じた不思議な喪失感は 私に悪夢だと記憶させなかった。
9/10/2023, 5:05:05 PM