yukopi

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目が覚めた時、どうやら私はかなり長い夢を見ていたらしい。側にはもう「悟空」はいなかった。
悟空…あの悟空だ。
そう、あの孫悟空。ドラゴンボールの主人公。

私が眠りにつく以前の記憶。
悟空は言っていた。
『もう少しで地球が滅ぶ。それはオラのせいだから、オメェはオラと離婚して、オメェは逃げろ』
…オラは悪い奴らを倒しに行く。

野沢雅子の声でそう言ったあと、記憶が途切れた。
私が目覚めた時、本当に悟空は側にいなくなっていた。

親に「ねぇ、悟空さんは?」と聞くと、
『大酒飲んでそれからあんたと離婚したよ。…結局のところ、そういう男だったよ。』と言われた。
だけどすぐに私は、違うんだよなぁ…と思った。

眠りにつく以前の記憶では、とても楽しかったし、悲しいどころか色んな思い出を作れて嬉しかった記憶しかない。だけどうちの親達はそれを見ていないから…と、そんな風に悟空のことをそっけなくあしらう親達が少し悲しかったけど、言い返したりはしなかった。

(悟空さ…、行ってしまっただ…。)


でも、私にもまだやるべき事があった。あと少しで地球が滅亡するから、私は私でなんとかしよう!少しでも悟空の役に立とう!と思い、私は電話の前に立つ。
古い電話帳を片手に、私が知る限りの知り合いに片っ端から電話をかけ始めた。

陸海空の自衛隊的な、NASA的な各国の知り合いに連絡し、地球側からも、ミサイルという物理を撃ち込み、
確実に悟空の言っていた『悪い奴ら』を消滅させる
"経度"を私は知っていたのだった。

私は密かにくつくつと口角を歪め嗤った。
私の戦闘力は53万なのですよ。ホラ見てご覧なさい、もうすぐ打ち上がる、綺麗な花火を!


地球滅亡まで、あと数時間。









…という夢を見たんだ。




お題:目が覚めると

7/11/2024, 1:04:25 AM