名もない譫言

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「う“ぅ...........あ”ぁ!」

 騒がしい病室に、女性の叫び声が聞こえる。
何時間経ったのだろう......。意識が飛んでしまいそうな激痛に見舞われ、時の感覚を失う。

「もう少しです!頑張ってください!」

 看護師さんの励ます声も、自分の声でかき消される。その時、体がふっと軽くなる様な、股の間から、お腹から、痛みが出て行った様な感覚に見舞われる。

「はぁ.........はぁ.........はぁ.........」
「奥さん!生まれましたよ!赤ちゃんですよ!」

 看護師さんは泣いていた。いや、泣き笑いの表情だった。その時、安心しきったのか、意識が飛んだ。

ー*ー

 数時間経った後、私は小さな小さな、守るべき未来、“命”に触れた。温かくて、柔らかくて、すぐに壊れてしまいそうな“命”は、安らかに眠っていた。

2/24/2024, 10:12:57 AM