夜凪

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幼い頃、明け方に目覚めてしまった私がベッドから抜け出して階下に降りると、まだ誰も起きていないはずなのに突き当たりのキッチンからリンと鈴の音のような音がした。
(飼っている子猫かしら?)
そう思ってそうっと足音を立てないように扉の前まで進んで、少しだけ開いた隙間から中を覗き込めばそこに居たのは小さな光の粒達。
テーブルの上の角砂糖を囲んで楽しげにクルクルと回っていたわ。
暗闇に目が慣れてきたら、それは光の粒じゃなくて妖精で思わず
「わ!」
と声をあげてしまったら、驚いたようにこちらを見てそしてパッと消えてしまった。
大人になってからも時々思い出す。
今でも耳を澄ますとあの鈴の鳴るような可愛らしい笑い声が聞こえる気がするの。


テーマ『耳を澄ますと』

5/4/2024, 11:13:33 AM