「おーい、おーい」
森の中で一人、誰かの叫ぶ声がする。
道に迷っているのかと、声のする方へと足を進める。
「おーい」
先程よりも大きくなったその声に、違和感を感じる。
何も無かった。
不思議に思い、辺りを散策する。
草の根を掻き分けたり、木の間を覗いてみたり。
「おーい、おーい」
頭上から声がした。
思わず後退りをするが、背中にナニカがぶつかりこれ以上進めない。
ああ、そういえば昔じいちゃんが言ってたな。
山の中で聞こえる声には気をつけろって。
血生臭い匂いと共に、
生暖かい息遣いが耳元で聞こえる。
4/17/2025, 5:37:53 AM