細言

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『君を照らす月』
「今夜は月が綺麗ですね」
ありふれた、言葉だね。というか、ありふれすぎて適当な相手に“月が綺麗”と伝えるとき、何と言えばいいのかわからないまである。まぁなんにせよ、そういう場面は生きてれば割と多くあって、心に置いておくときもあれば、「いや、マジで月綺麗!」と勢いに任せて言う時もある。そんなことばかりだと、本命の場でふざけそうで、ちょっと心配である。
ベランダの戸を開けて、夜空が侵入する。夜の空気って美味しいよね。そう、僕は言って、目を合わせずに君の隣でココアを飲む。熱々の甘いやつ。チラッと横を見れば、輪郭が神々しく、いや、案外それほどでもないかもしれないけど、黄色く縁取られている君がいる。月を見ようとして、君に魅せられる。君は月なのかもしれない。そうだ、きっと君はかぐや姫だ。どうりで毎日無理難題を押し付けてくるわけだ。それに可愛い。宇宙一かわいい。君がかぐや姫だとすれば、お母さんは竹になるのか。なんてまぁどうでもよくて。月光に縁取られた君は綺麗で。その月が、少し羨ましい。君をこんなにも、綺麗に彩れるなんて。
僕も、負けてられないな。

11/16/2025, 2:32:24 PM