いぐあな

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オカルト
300字小説

逢魔が時

 学校帰り。部活を終えると、この時期は夕日も落ちて、帰り道は薄闇に包まれる。
 『黄昏』、『誰そ彼』。『逢魔が時』とも呼ばれる時刻だ。
「……う……」
 自宅に続く道は、坂の途中に寺の山門があり、奥には墓地が広がる。
 足早に坂を上がる。ふいに山門から小柄な影が現れる。影は草刈り鎌を持ち、それを振り上げて、私に向かい、一気に坂を駆け下りてくる。
「じいちゃん!?」
「うわぁぁぁ!!」
 突然、背後から上がった悲鳴に振り返る。黒ずくめの男が、私の背から離れ、一目散に逃げ出す。
『うちの孫に何しようとしとるんじゃあ!!』
「ひぇぇぇ!!」
 転がり落ちるかのように坂を下っていく二つの影。

「……じいちゃん、死んでも元気だなぁ……」

お題「たそがれ」

10/1/2023, 11:37:10 AM