『どうしてこの世界は』
「どうしてこの世界は、ゴミで溢れかえっているのだ!」
青年は右手に持ったポリ袋を、力強く握りしめた。
大容量90L、10枚入600円。色は透明。
少しお高めだがそのぶん生地はしっかりで、鉄やガラスが掠れても簡単には破れやしない。
青年は勢いよく、ゴミを集めていく。
あえて透明な袋を選んだのは、集めた戦果を通行人たちに見せつけるため。
彼らに反省を促すためだ。
そんな彼の姿を見て感心の声が上れば、冷たく嘲る者もいる。
たくさんの視線が通り過ぎていく中、
青年はどこか悲しげに、ぽつり呟いた。
「どうして誰も手伝おうとしないんだ」
彼にとって、応援も嘲笑もただの傍観に過ぎない。
ゴミ拾いの同士が増えない限り、この世界の汚れは悪化するばかり。
「あのー」
嘆く彼の肩に、ぽんと軽い手のひらの感触が触れる。
顔を上げると、目の前には半透明のポリ袋が。
青年は瞳を輝かせる。
「すいません。これも一緒にお願いしていいですか?この辺、ゴミ箱なくて……」
青年は叫んだ。
「どうしてこの世界は、ゴミで溢れかえっているのだ」
6/9/2025, 12:47:02 PM