「あ」
「わ」
チャリンと落としてしまったバイクの鍵。
恋人の足元に落ちたから当たり前のように拾ってくれる。
ふわりと柔らかい微笑みをしながら鍵を向けようとするけれど、突然キュッと鍵を握りしめて背中を向けた。
かえして。
言いにくくて言葉に詰まっていると、 彼女はチラリと視線を向けてくれた。
眉間のシワも八の字にし、口元を尖らせている。
あ、可愛い。
って思っちゃダメなんだろうけれど、こんな表情すら愛らしい。
「もうちょっと、一緒にいちゃ……ダメですか?」
あまりにも可愛いもんだから、ダメって言えないよ。
おわり
五五七、君が隠した鍵
11/24/2025, 1:37:27 PM