かわいい服だな、よく似合ってる、自分で選んだのか?
とりあえず片っ端から言葉を並べてみるが、そいつは不満げな顔を隠しもしない。
俺は何も脳内当てゲームがしたいわけじゃないんだ、思わず出かけた舌打ちを飲み込んで、「ふくれっ面だな」と言うと、そいつが言葉通りに頬を膨らませて言う。
「お父さんはわかってません」
「何が?」
「あたしを褒めてほしいんです」
……なるほど?
そりゃあ「女心がわかってない」と、こいつの母親――つまり俺の元嫁に散々こき下ろしてくるだけはある。
だが、きちんと自分の言葉で聞きたい言葉を言ってくれるだけ、こいつの方がまだマシか。
「君は服よりもかわいいよ」
「とってつけたお世辞はいらないです」
「君がかわいいのは当然のことすぎて、思い至らなかっただけだ」
と、言えば、そいつは顔を真っ赤にして俺を見上げてくる。
けど、まあ、これはほんとに世辞じゃなくて、本心だ。あまりにも当たり前のことは、まず、言葉にしようなんて思わないだろ?
20250227 「cute!」
2/27/2025, 11:32:39 AM