お題「現実逃避」
「今日は最高の日だ」
今の僕は誰から見ても最高に輝いて見えるのではないだろうか。
比喩ではなく実際に幸福なオーラで輝いてるに違いない、きっと太陽より眩くて目も開けてられないだろう。
「おはようございます!」
大声で学校の門の近くに立ってる先生に挨拶をした
誰よりも大きな声で挨拶したので周りの視線が痛いがお構いなしだ
「なにしろ今の僕に怖いものなんてないからな」
教室に入るまでも皆んなの視線が僕に集まっている
よほど輝いて見えるのだろう
口角を少し上げて誇らしげに教室に入った
「おっはよー!」
大声で挨拶した
皆んな一瞬驚いた表情をしていた
何しろ今迄教室に入る時に大声で叫んだ事なんてないからな。
しかし今日の僕は輝いてるから大声で挨拶なんてお手のものだ
いつもよく一緒にいる友達はまだ来てないようだ
僕の挨拶に誰の返答も無いのは少し悲しい。輝きすぎたか?
席に着く
輝きすぎてるせいか皆んなが僕から遠ざかってる気がする
遠巻きに何やら内緒話をしている
今日の僕って輝きすぎてかっこいいってか?!
「やばいぞ、学校の人気者になったらどうしよ」
机に座って窓の外を眺めながら微笑んでいた
すると少しして
「ん、なんだこりゃ!?」
僕の仲の良い友達の声だ
彼が教室に入ってきた
「おいおい、なんか今日学校中う○こ臭いんだけどやばくね?」
彼は何を言っているんだ?
すると
僕の輝きに気付いた彼が近づいてくる
「え、おま、お前、クク」
彼は僕を見て一瞬眉を顰めたが、すぐ大笑いをし始めた
「何俺の顔見て笑ってんだよ」
と彼を小突いた
彼は目を細めながら
「いや、おま。クク、頭に鳥のフン乗っけて、ハッハ。ってよく見たら、ズボンくせー、ハハハ」
僕の現実逃避はここまでだ。
完
2/27/2023, 11:03:19 AM