ヒロ

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「書く習慣アプリ」なんてものに手を出しているくらいなのだから、昔から読書は大好きである。
好みのジャンルを読み漁った末に「自分も書いてみよう」と、ペンを取るなり、パソコンやスマホで執筆するようになったのは、皆似たような経緯ではなかろうか。
近頃は疲労が貯まるばかりで。小説にしろ漫画にしろ、ビニールカバーを剥いてすらいない積ん読が増えていくのが悲しいところである。
本を広げたまま居眠りしてしまうなんて昔は無かったのになあ。
通勤時間の合間だけじゃなく、腰を据えて、寝食忘れて夢中に読み進められる時間と体力が欲しいものだ。

さて、「好きな本」か。浮かんでくるものが多くて絞り切れない。どの本のことを話そうか。
うーむ。
こうやって文字を打っているくせに、先に浮かぶのが漫画で申し訳ないが、やはり田村由美先生の「BASARA」は外せないバイブルの一つだ。
私の世代が読むには少し一昔前となる作品で、多分自分の興味だけでは出会うことは無かった作品だ。

切っ掛けは、知り合いのお姉さんがオタク卒業を機に、断捨離のように大量に譲ってくれた古い漫画本の中に入っていたのを見付けたところからだった。
後の「7SEEDS」やその他の短編にも共通するように、様々な登場人物たちが織り成す群像劇はとても魅力的で。
段ボールから取り出しては、目が離せないストーリー展開に夢中になったものだ。
そうして最終巻だと思い、覚悟して読み進めた十五巻。何とそれは超気になるところで終わる物語の転換部で。
驚いて段ボール内を探すもその続きは入っておらず。
続きが読めない事態にショックを受けたのを今でも覚えている。
当時はまだ単行本からの文庫版化もされておらず、電子書籍版で読むという手段もない頃で。
連載が終了して旬を過ぎた作品の続刊を書店で買い集めることは難しく、その先を読み進めることを一度は泣く泣く諦めた。

しかしながら、その後に奇跡が起きた。
ぽろっとその事を友人に漏らしたところ、何と友人の姉が全巻持っているという巡り合わせがあったのだ。
友人と通う大学は別だったものの、通学で一緒になる最寄駅で示し合わせては貸し借りをして。
無事最後まで読破をした思い出が懐かしい。

そんな思い入れもあり。晴れて文庫版も発売された現在は、ばっちり買い揃えて本棚に収まっている大事な本である。
近年は「ミステリと言う勿れ」のドラマ化や映画化で話題となり、大好きな先生の作品が注目されて、ファンとしても嬉しい限りだった。
それだけに、ドラマ化に際しての改変は物申したいところがあって残念である。
ただ、そうは言っても、菅田将暉扮する整くんの活躍をもっと見たいとも思っているので、映画化記念の単発ドラマのように、いつかまた続きを製作してもらえたらな、と期待している。


(2024/06/15 title:039 好きな本)

6/16/2024, 10:00:01 AM