声が出ない。
いつも、声が出ない。
優しいあの子に言いたいこと。
棚越しに目が合えば、ふっと微笑むところが好き。
黒板を見る時、目がきゅっと細くなるのが好き。
大きく伸びをする時に出る声が好き。
笑った時のくしゃっとした顔が好き。
全部言いたい。
数学の問題はわかんないけど、
君を記述する国語の問題ならいくらでも解ける。
それなのに、言えないんだ。
溢れた気持ちはくしゃくしゃの塊になって
苦しい僕はごく、と飲み込んでしまう。
そんな僕にも春は来るのか。
きっとそうであるって信じたい。
今はまだ、散った桜の上を歩いてる。
いつか僕もその道を抜けて、
大きな声で君を呼びたい。
叫びたいんだ。
君への愛を、僕が出せるとびきりの声で。
5/11/2024, 10:12:31 AM