ミキミヤ

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雨上がり、雲間から光が差し込み、濡れたアスファルトを煌めかせている。
俺は歩道橋の上で立ち止まり、それを見ていた。
俺の右手にある畳まれた傘からは、まだ雫が流れ落ちている。

激しい雨だった。厚い雨雲が世界を閉ざし、薄暗闇に染めていた。もう、ずっとやまないんじゃないかと思うほど、長く長く降り続いていた。それが、嘘みたいに光が差している。『やまない雨はない』。使い古された言葉だけれど、まさにそうだと俺は実感していた。
失敗続きで、落ち込んでばかりで、もうずーっと落ちていくしかないと思っていた俺の心は、雨上がりの煌めく景色に、大きく揺さぶられていた。

もし、暗く雨が降るばかりだと思っていた俺の人生にも、こんな煌めく瞬間があるとしたら。
過去の失敗を反省するのは大事だ。ただ、そればかりにとらわれては、先にある煌めきにきっと気づけない。

自動車が歩道橋の下を通り過ぎていく。跳ね上げられた水たまりの水が、太陽光を浴びてキラキラと瞬いた。

俺はその場で大きく深呼吸して、再び歩き出した。
きっとこの先に煌めく瞬間はきっとある。それがどれほどやってきてくれるのかはわからないけれど、ただその瞬間があると信じられるだけで、今の俺には充分だった。
歩き出した俺を照らす光は、眩く、あたたかかった。

6/2/2025, 9:06:50 AM