流れ星に願いを
おばあちゃんは、よく言ってた。
「流れ星に願いを託すとね、きっとその人には、幸福が訪れるんだよ」
嘘ばっかり。
だって、私は「お父さん」を知らない。お母さんも、病気で、もう長くないって。
お母さんの病気を治して
お父さんがほしい
私の、昔からの願い。でも叶ってなんていない。
それにまた、願いごとが増えた。
おばあちゃんを生き返らして
これも、叶うわけはない。わかってる。私も、子どもじゃないんだから。
私たちは、生きている。
星は、ずっと、ずぅっと遠い存在で、なにもしてはくれない。
私に幸福が訪れなくてもいい。
お父さんには、会わないほうがきっといい。
お母さんの、残りの時間は、一緒にいたい。
おばあちゃんは、こうも言ってた。
「あなたは、周りのことよりも、自分の幸せをちゃんと考えたらいいの。あなたは、もっとわがままを出していいんだよ」
その声を思いだしながら、夜空を見上げて、驚く。
――流れ星だ。
でも。もう願わない。
私はちゃんと、自分の足で生きていくんだ。
だから。
――悲しいって、言っていいんだよね? おばあちゃん。
4/26/2024, 3:37:07 AM