あれもダメこれもダメ。
人は所詮コマ。
テキトーに近づいて
情を持たず
上下関係さえ築けば、
あとは勝手に動いてくれるし
守ってくれるし
扱いやすい特攻隊にもなってくれる。
けど一人、
また一人と
人がいなくなる度に、
何のためにこんな事をしていて
ここにいるのか分からなくなる。
毎日
誰がどう私を倒すのか
考えて考えて
気づくと倒されたいと思っている。
定番のボスである魔王。
私には荷が重すぎる役割だった。
生まれた時から
両親がおらず、
生まれるといっても
そこにいる
私が私であると思う私は、
既に歳をとる魔王であった。
世界中の人を怯えさせ
脅し、操り、奪い、
時にはモンスターを生み出し
襲わせる。
人々の憎しみの対象に
私はなっていった。
役割を全うしようと私なりに…。
魔王は邪悪でいなくちゃいけない。
だから私がぼやぼやとしてたら
ダメなのに。
この重く太い鎖が
私を魔王の座から縛って逃さない。
"Good Midnight!"
ある時一人の猫又に
ネブラスオオカミを紹介された。
ネブラスオオカミは
他者をネブラスオオカミにし、
群れを作るのだが
あいにく私は頂点なので
群れることは不可能ということで、
願いを一つ
敬意を持って承ると言われ、
こう願った。
遠くへ行きたい。
勇者に倒されることも、
魔王の役割も
何もかも捨てて。
7/3/2025, 4:10:55 PM