桜月夜

Open App

   : 楽園


ボクは、生まれた時から
独りぼっちだった

兄弟はいたけれど
生まれつき小さかったボクは
母や兄弟から相手にされず
まともにミルクも貰えなかった

気づけば、家族は消えていた

お腹がすきすぎて動けず
鳴く声も消え入ってしまった

どうして誰も、ボクを愛してくれないの?
ボクは、生まれちゃいけなかったの?

寒くて、怖くて、体が震えた

どうしたの? 大丈夫?

優しい声が聞こえた気がした

怖くないからね 抱っこするよ

ゆっくりとボクを抱き上げた手が
今まで感じたことがないくらい温かくて
ボクは、力の限り鳴いたんだ

そこからのことは、覚えていない

気づけば膝の上で、とっても愛おしそうに
頭を撫でられていた

起きたのね もう大丈夫 心配しないで
そうだ、お腹空いてるでしょ?
ミルク飲もうか

立ち上がろうとする手を、ボクは
一生懸命つかまえたんだ
またおいていかれそうで、怖かったから…

安心して、もうあなたを独りにしないから
これからここが、あなたのお家だよ
仲良くしてね

また、頭を撫でてくれた

楽園という場所は
ボクに生きる希望を、そして
眩しい未来をあたえてくれた

この手の温もりが
ボクにそう教えてくれた


                   桜月夜

4/30/2026, 2:59:31 PM