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星座


かつて私は空にいた。
何年、何十年、いや、きっともっと数えるのも億劫になるほどの長い期間、私は空の一部だった。
星という存在で、光輝き、私はようやくその一生を終えた。
それから、生まれ変わって、初めて夜空を見たとき、懐かしさで泣きそうになった。優しい声でどれがどんな星なのか、教えてくれるその人に、聞いてみた。
「あそこで光っている星は?」
あれはね、と説明する声に耳を傾けながら、かつて私だったその星を見つめる。とある星座の一部だと、知ってその星座を指でなぞるように繋げた。
繋がるその星々はかつての友人であり、家族であった。嬉しくて涙を流していると、その人は柔らかく微笑んだ。
「綺麗だもんね」
その一言で、あの途方もない時間が報われたような、そんな気がした。

10/5/2023, 2:23:24 PM