耳を澄ますと
聞こえてくるのは柔らかな歌声。
いつまでも聴いていたい温かい子守り唄。
私は、この人を知っている。
でも…顔が思い出せない。
小さい頃の友達だろうか?
「あなたは、誰?」
名前を聞きたいのに、だんだん意識と歌声は
離れていく。
代わりに、聞き慣れたスマホのアラーム音が
大きくなっていった。
目が覚めたらいつも通りの部屋。
クローゼットに机、テレビ、ベッドサイドには
お気に入りの西洋人形。
「あの夢は、一体何だったんだろう。ただ心地は良かったな」
西洋人形の頭を撫で、着替える準備を始めた。
私の後ろで、西洋人形が少し微笑んだことに気付くことはなかった。
5/5/2024, 8:53:38 AM