わたゆめ

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またね

彼にこっぴどくフラれた。

身体のことを相談した後だった。
結婚も視野にいれたお付き合いだったから、皮膚の慢性疾患により通院していることを打ち明けた。

彼は家族にそのことを話したらしい。
結果、家族から付き合うことを反対された。

彼は私をフルときに、「自分の家族が一番大事。家族が反対する人とは付き合えない。」と説明した。

病を打ち明けることはリスクだと覚悟していたとはいえ、ショックは思った以上に大きかった。

私の病は見ため以外の問題はない。遺伝もしない。
正直、その歳でまだ結婚相手の見た目にこだわるのかと腹も立った。

しかし、それ以上に、私に外見を上回る以上の内面的魅力がなかったことを悔しく思った。
これはかなり堪えた。
信頼関係は出来ていると勘違いしていた。
お互いなくてはならない存在になっていると思っていた。
大きな誤算だったし、自惚れであることを突きつけられた。

私は家族に直接話したいと食い下がった。
家族に会って、私の内面を知ってもらえば覆る話だと思った。

悔し紛れに言ったその提案は受け入れられず、私は絶望した。
所詮、家族を優先する男だ。
結婚したところで、私と家族がぶつかったとき味方してもらえないのは目に見えている。

そう考えて諦めた。

去り際に私は「またね。」と別れた。

帰り道に滑稽な挨拶だったと自分を笑った。
だって、「またね。」って次も会うことが決まっているからする挨拶だ。

私たちは今しがた別れたのだから「またね。」なんてない。
この気づきにまたショックがより一層深まった。


P.S
別れたあと、半年ほど友人としての関係を続けた。
私は諦め切れていなかったし、次の恋愛に身も入らなかった。半年経って、もう一度思いを伝えた。
答えはノーだった。そのときはさすがに諦めて「さようなら」の挨拶をした。その話しはまた別の機会に。

8/6/2025, 1:14:51 PM