(現代転生)
春になった。
ここ最近暑かったり寒かったりして冬なんだが初夏なんだか分からない、そんな季節感だったけど、暦の上ではもうとっくに春だった。
桜が気温変動に耐えきれず、葉っぱと一緒に出てきてはいたが、綺麗なことに変わりはない。
「ってことで花見をしようか」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯どういうわけで」
やたら不機嫌な彼女に微笑みだけを返すと、軽い舌打ちが送られる。
「まぁ、幼なじみなんだからいいじゃないか」
「⋯⋯⋯⋯関係ないです」
記憶がないらしい元『権力者』の彼女は、僕のことを幼なじみの一個上としか見てないらしいが、僕はバッチリ覚えてる。
「見たいんだよ、きみと」
「⋯⋯⋯⋯仕方ない人ですね。ボクなんかで良ければ」
彼女も渋々了承してくれて、ボクの隣に座った。
桜がハラハラと舞い落ちて、彼女の髪に乗った。
「きれいだね」
「⋯⋯⋯⋯ありがとう、ございます」
彼女も微笑んで笑った。
4/17/2024, 3:36:37 PM