部屋の中にひとつ、特別な箱がある。この箱には彼からもらったものが全部入っていた。
最初に貰ったものは、この箱に入らない少し大きなもので、クローゼットに立て掛けてある。それはスケートボード。
あれから何度も使ってボロボロになっていて、新しいものを買っている。それでもこのスケートボードは宝物で、いつまでも捨てられないものだ。
時々、恋人がこのスケートボードを見て苦笑いする。
「こんなボロボロになったの、取っておかなくて良いよ。また買ってあげる」
そう言ってくれるが、彼女は断っている。
「これが良いんです」
そう返して、スケートボードを優しく撫でた。
おわり
お題:いつまでも捨てられないもの
8/17/2024, 12:58:15 PM