君と出逢って、
ヒトの為に造られたAI搭載アンドロイドだった私は主を転々とし、ある老夫婦に破格の値段で購入された。
私が安かったのは上手く笑えなかったからだ。
悲しみや怒りの表情はヒトのようにできても、笑顔だけがどうしてもできなかった。
「笑った顔が怖い。」「笑顔が下手で嫌だ。」
そう散々言われ私は欠陥品になった。
夫婦もきっと同じことを言って私を手放すだろうと思っていた。しかし、彼らは私の笑顔に何も言わなかった。
「なにか悩み事はない?」とお婆さんに聞かれ「上手く笑えない、またいつか捨てられるのではないかと不安だ」と私は胸の内を明かした。
「私たちも一人娘を失ってから笑うことができなかった。」とふたりは言う。
「でも君に出逢って、君のお陰で、僕たちの日常はまた動き出したんだ。上手く笑えなくたって何も問題は無い。君がこうして毎日一緒にいてくれるだけで充分さ。」お爺さんはそう言うと、ぎこちないけれどとても優しい笑顔を見せてくれた。
私は無意識に顔が綻んだ。
「あら!可愛い笑顔。なんにも問題ないじゃない。毎日その笑顔を私たちに見せてちょうだい?」
そう言ってお婆さんも私の手を握って微笑みかけてくれた。
初めて上手く笑えるようになった。
5/5/2026, 10:51:40 AM