NoName

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「ごめん。別れよう」


 目の前の彼は突然そう告げた。


「なんで?」


「なんでもない……」


 理由を聞きたいのに何も話してくれない。


 これ以上問いつめても仕方がないと女は深く息を吐いて小さく「いいよ」と呟いた。


 それが夏休みの終わりの頃の話だ。

5/19/2024, 11:14:40 PM