わをん

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『星が溢れる』(Bloodborne)

柔らかな肉に瞳は宿る。宿る先、それは目であり、それは脳であり、それは命の揺り籠である。
目に見えぬものを感知できたのは唐突なことだった。脳裏に広がったぼんやりとしたもやは夜空の星雲のようにきらめいて美しく、涙が溢れ出て止まらなかった。
あのもやを見て以降、視力が失われていることに気がついたが、あなたは瞳を得たのだと周りの人たちは褒め称えた。もっとはっきりとその姿を見たいと思い、さらなる瞳を得た先に視えたのは柔らかな肉を纏い粘液に塗れた巨大な軟体生物。それを変わらず美しいとは思えなかった。
「私たちの追い求めていたものは、あんな化け物だったのですか……!」
周りの人たちのため息が聞こえる。
「あんなもののために、私の目は、」
何かが振り下ろされる音が聞こえる。

3/16/2024, 12:54:12 AM